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毎回さまざまなゲストミュージシャンを招いて演奏とトークを行う配信ライブシリーズ。

御茶の水Rittor Baseからお届けする、ここでしか見られない貴重なセッションも! お見逃しなく。

INO hidefumi THE SESSION vol.5 featuring 藤原ヒロシ at Rittor Base
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フェンダーローズの名手として知られるキーボーディストINO hidefumi(猪野秀史)がホストとなり、御茶ノ水 RITTOR BASEから行う配信ライブシリーズ=“INO hidefumi THE SESSION”。ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)、鈴木茂、そしてゴンドウトモヒコ、高野寛に続き、5回目となる今回は、ゲストに藤原ヒロシを招き4月25日に開催します!藤原ヒロシは1980年代よりクラブDJを始め、1985年に高木完とともにTINNIE PUNXを結成。
日本のヒップホップ黎明期を支えた一人です。1990年代からは音楽プロデュース/作曲家/アレンジャーとして活動の幅を広げる一方、ファッションの分野ではストリートカルチャーの牽引者としてワールドワイドで知られる存在となりました。
INOはこれまで何度も藤原と共演してきましたが、今回は初となる配信ライブセッション……しかもサポートメンバーを加えず二人きりで演奏を行います!
それぞれの持ち曲や意外なカバー曲を、定評あるRITTOR BASEの映像・音響システムを生かした極上の
ストリーミング配信でお楽しみください。そして!毎回好評のコラボTシャツですが、今回は藤原ヒロシがデザイン!! 
サイズはLのみで、ブラックとホワイトの二色展開。視聴券とセットのお得な価格設定となっていますので、ぜひお求めください!
 
<INO hidefumi THE SESSION vol.5 featuring 藤原ヒロシ>
開催日時:2021年4月25日 (日) 20:00- (演奏は1時間強を予定。アーカイブは2021年5月2日23時まで視聴可能)
ストリーミング視聴券:2,200円 チケット購入
Tシャツ付ストリーミング視聴券:5,500円 チケット購入
INO hidefumi THE SESSION vol.4 featuring 高野寛 at Rittor Base
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フェンダーローズの名手として知られるキーボーディストINO hidefumi(猪野秀史)がホストとなり、御茶ノ水 RITTOR BASEから行う配信ライブシリーズ=“INO hidefumi THE SESSION”。ハマ・オカモト(OKAMOTO’S)、鈴木茂、そしてゴンドウトモヒコに続き、今回はゲストに高野寛を招き3月25日に開催します!シンガー・ソングライターとしてソロ活動をしているだけでなく、ギタリストとしてもYMOやTEI TOWA、宮沢和史、星野源をはじめとした多くの
アーティストのライブや録音に参加するなど、日本の音楽シーンで確固たる地位を築いてきた高野。そんな彼が初顔合わせとなるINOと一緒に、それぞれの
持ち曲や意外なカバー曲を、ここでしか聴けないアレンジで披露します。
サポートは細野晴臣バンドでベース(!)を担当している伊賀航、そしてキセルでのシュアーなドラムで知られる北山ゆう子を加えた万全の
布陣。定評あるRITTOR BASEの映像・音響システムを生かした極上のストリーミング配信で、ミュージシャンそれぞれの息遣いまで存分に感じられる内容となるでしょう。
また、高野が撮影した写真をもとにINOがデザインしたコラボTシャツ付視聴券も販売します。

<INO hidefumi THE SESSION vol.4 featuring 高野寛>
開催日時:2021年3月25日 (木) 20:00- (演奏は1時間強を予定。アーカイブは2021年3月31日23時まで視聴可能)
ストリーミング視聴券:2,200円 チケット購入
Tシャツ付ストリーミング視聴券:5,500円 チケット購入

INO hidefumi THE SESSION vol.4 featuring 高野寛 at Rittor Base ライヴリポート

1曲目は、細野晴臣の名曲「終りの季節」だった。ホストの猪野秀史もゲストの高野寛も、特に何かをMCで説明するでもない。
この曲を高野は2013年10月リリースのカヴァー・アルバム『TOKIO COVERS』でとりあげているし、もちろん猪野も大好きな曲だからこその
1曲目なのだろうけど、二人が感じている共通言語のような感覚はなんとなくわかる。それは、“シティ・ポップ”という言葉が生まれる以前、
まず1970年代の半ばに“シティ・ミュージック”という呼称があった頃、海外からの影響をめいっぱい受けながらも、好きな音楽を自分たちの肌感覚へ
フィットさせる方法を若者たちが真剣に探っていた時代の手触り。この夜の隠しテーマはそれかもしれないと予感させる最高の幕開けだった。

 

そもそも、セッションというかたちでお互いの引き出しを開け合うことはプロフェッショナリズムのなかにアマチュアリズム的な楽しみを
見出す方法でもある。2曲目に演奏された「(それは)Music」(高野寛『TRIO』/2014年8月)で、高野は終盤の歌詞を「これが新しいセッションの
ミュージック」と変えて歌った。即興で出た言葉だとしても、それが正直な手応えであり喜びの表現だったのだろう。
「each other」(高野寛『Rainbow Magic』/2009年10月)を歌い終えて、リズム・セクション(伊賀航+北山ゆう子)を「リンゴとポールが憑依した
ようなプレイ」と称賛したのも印象深い。実際、「each other」の曲調のせいもあって、ビートルズが1969年に行っていた〈ゲット・バック・セッションの
いいムードの日の演奏を聴いているような錯覚をぼくも覚えていたから。

 

いっぽう、猪野は、ポップさに隠された高野の“はみ出していく力”を引き出そうとする。
「ねむれない」(INO hidefumi『SONG ALBUM』/2018年10月)で高野が弾いたフリーキーさのあるギターソロを「アンヴィシャス・ラヴァーズの頃の
アート・リンゼイのよう」とたとえたのも、その一端だろう。そうした言葉のやりとりや演奏のミステイクも、セッションに有機的に作用していく。
それを無修正で受け取ることができるのも生配信ならではのおもしろさだ。

 

そんなおもしろさが最初の頂点に達したのが、この日のために用意されたカヴァー「レディス&ヂェントルマン&おとっさん・おっかさん(ユー・
ビロング・トゥ・ミー)」だ。昭和30年代に一世を風靡したコメディアン、トニー谷が、アメリカのスタンダード曲として知られる「You Belong To Me」を
大胆な日本語歌詞を交えてカヴァーした1曲。破天荒な歌詞で生まれ変わったこの曲を、猪野はさらにファンキーにリメイク。
最新シングル「IN DREAMS」のカップリング曲「MAGNETIC DANCE」にも通じる、笑えてもなおかっこいい今のINO hidefumiのモードが伝わってきた。


また、猪野はMCでは言及はしなかったが、おそらくこの曲を知ったきっかけは世代的に見て大滝詠一が監修したトニー谷のベスト盤『THIS IS MR.TONY TANI』(1987年)を通じてだろう。いっぽう、高野は原曲の「You Belong To Me」を山下達郎のア・カペラ・アルバム『ON THE STREET CORNER』(1980年12月)でのカヴァーを通じて知ったという。同じ曲をカヴァーしている二人の背後で大滝詠一と山下達郎が交錯していたと妄想してしまった。
 

セッションは後半に入り、この日の“第一のヤマ”と評されていたテクニカルなインスト曲「Salsa de Surf」(高野寛『A-UN(あ・うん)』/2018年2月)。
もともとアコーディオン奏者cobaから「サーフミュージックをサルサでやってほしい」とのリクエストで高野が書いた楽曲のセルフカヴァー版。
この日の演奏はギタリスト高野寛のえぐみが存分に出た凄まじいもの。ため息が出るほどかっこよかった。

 

そして“第ニのヤマ”は、伊藤銀次「こぬか雨」のカヴァー。それをこの日は、シュガー・ベイブによる未発表ライヴ・ヴァージョンを元にして演奏するのだという。若い頃に組んでいたバンドですでにそのカヴァーを猪野はやっていたという。過去の自分も一緒に連れてこの場にいることは決してうしろ向きなことじゃない。見ているのは、そのときも今も好きな音楽を好きだと言い続けているからこそ出会える未来だ。
演奏を終えて「100点!」(猪野)、「楽しいね!」(高野)とふたりから声が出たのが、その自然な証明だ。

 

ラスト2曲で、当日の朝にSNSでの書き込みがきっかけで急遽飛び入りが決まったゴンドウトモヒコがフリューゲルホルンで参加。
ふくよかな厚みを増したアンサンブルで、小坂忠「ほうろう」のカヴァー、そして最後に高野の「夢の中で会えるでしょう」(1994年10月)へ。

 

この先もぼくらが音楽を好きで居続けられるなら、また夢の中で、そしてやがてはきっと現実でも会えるでしょう。


たぶん、その悦楽とスリルは50年前の1970年代も、コロナ禍の今現在も、もしかしたら50年後もそんなに変わらないのかも。
自分たちらしく、憧れのありかを見つけ出すことが楽しい。その快感原則は変わらないんだから。つくづくそう思えた特別な一夜だった。

松永良平(リズム&ペンシル)

■ INO hidefumi THE SESSION vol.3 featuring ゴンドウトモヒコ at Rittor Base
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リットーミュージックが運営する「御茶ノ水Rittor Base」から行配信ライブシリーズ“INO hidefumi THE SESSION”。
8月のハマ・オカモト(OKAMOTO'S)、そして10月の鈴木茂に続き、3回目となる今回はゲストにゴンドウトモヒコを招き11月17日に開催します! 管楽器とコンピューターに精通したユニークなスタイルのミュージシャンとして、META FIVEや蓮沼執太フィルのメンバーとして活躍するだけでなく、YMOやThe Beatniks、くるりなど多くのバンドのレコーディングやライブに参加。それらすべての現場で絶妙のサポートを行っているゴンドウは、日本の音楽界にとってもはや欠かせぬ存在であると言っても過言では無いでしょう。そんなゴンドウとINOが、それぞれの持ち曲をはじめ、カバーやフリーのセッションまで幅広い音楽を演奏します。サポートには細野晴臣バンドでベース(!)を担当している伊賀航、そしてキセルでのシュアーなドラムで知られる北山ゆう子を加えた万全の布陣。定評あるRITTOR BASEの映像・音響システムを生かした極上のストリーミング配信で、ミュージシャンそれぞれの息遣いまでが存分に感じられる内容となるでしょう。また、INOとゴンドウによるコラボTシャツ付視聴券も販売します。
 
<INO hidefumi THE SESSION vol.3 featuring ゴンドウトモヒコ>
開催日時:2021年1月21日 (火) 20:00- (演奏は1時間強を予定。アーカイブは1月28日23時まで視聴可能)
ストリーミング視聴券:2,300円 チケット購入
Tシャツ付ストリーミング視聴券:5,300円  チケット購入
INO hidefumi THE SESSION vol.3 featuring ゴンドウトモヒコ ライヴリポート

猪野秀史が毎回ゲスト・プレイヤーを迎えてRittor Baseで行う生セッション配信〈INO hidefumi THE SESSION〉のVol.3。
猪野の入院による延期を経ての第3回は、自身が参加するバンド、anonymous、METAFIVEや、数々のレコーディングやライヴに関わるマルチプレイヤー、
ゴンドウトモヒコを迎えて行われた。

 

共通の知り合いは多いというふたりだが、こうしてセッションのホストとゲストとして顔を合わせて演奏するのは初めてだったという。
セッションは、ゴンドウトモヒコがコロナ禍のなかで作った新曲〈Home Stay Home〉で始まった。猪野、伊賀航、北山ゆう子、
そしてゴンドウが向かい合うように陣取ったスタジオの映像は、なんとなく広い宇宙空間のようで、孤独でストイックなムードにも思えるものだった。

 

猪野の「目からうろこ」「魔法」、ゴンドウの「Idylica」「Awkward Dance」と、お互いのレパートリーを2曲ずつ。目の病気で入院していた猪野が退院して最初に披露した自分の曲が「目からうろこ」というのは洒落てる。「Idylica」は、ゴンドウが“中学の時に書いた”曲で、「Awkward Dance」は五拍子の難曲。しかし、演奏自体には研ぎ澄まされた緊張感があるのだが、ゴンドウの吹くフリューゲルホルンが加わることで、独特のふくらみが生まれる。

息を吹き込んで鳴らす楽器である管楽器の特質ではあるのだろうが、ゴンドウが好んで吹くフリューゲルホルンやユーフォニアムには、鋭く切り込んでくるというより、空間をふわっと広げてゆくような感触があった。

 

お互いに手の内を少しずつ見せ合ったあと、この日のハイライト的なシーンであった高橋幸宏楽曲のカヴァーへ。
去年(20年)の8月に病気で入院し、現在は快方へと向かっている高橋の楽曲から一曲ずつが選ばれた。Yellow Magic Orchestra、METAFIVE、pupaで高橋と
ともに活動してきたゴンドウは、YMOの「CUE」を。イントロで自らディジュリドゥを吹き、自らヴォーカルをとった。
初めて聴いたゴンドウの歌声はとてもまっすぐで不器用で、心なしか自然と震えているようなニュアンスが“幸宏声”の系譜だと思えた。

MCで先に紹介することもなく、「CUE」からそのまま猪野のチョイスへと演奏は進む。高速サンバ・アレンジのイントロにはひそかに「ライディーン」のコード進行が隠れているようにも感じたが、歌が始まると「Saravah!」だとわかった。性格や表現は違っても、ふたりからシンガーとしての高橋幸宏への

リスペクトが感じられた時間だった。ゴンドウは“配信アドレスは(幸宏さんに)伝えてある”と言っていたので、もしかしたら本人も見ていたかもしれない。見たらきっと喜ぶんじゃないか。

 

そこからライヴも終盤へ。やはりコロナ禍に生まれた曲だというゴンドウの「Tuning Pressure」。“同調圧力”という意味だが、猪野が指摘したようにYMOの

ライヴ盤『Public Plessure』も彷彿とさせるタイトルにも受け取れた。続く猪野の「犬の散歩」には、普段通りの生活をしようとしても不安がつきまとうこの時代と接している部分がアルバムで聴いたときより増したような印象を受けた。歌声の力強さも含め胸に届いた言葉に、ハッと我に返ったのはぼくだけではないだろう。

 

そしてラストはナット・キング・コールやファッツ・ドミノ、高田渡らの名演名唱でおなじみ「私の青空」。グッとニューオリンズの街場に寄せたアレンジでエンディング。孤独な宇宙空間だと思っていたスタジオは、いつの間にかにぎわう南部の街になっていた。

 

そういえば、MCタイムで猪野が中心となって続くやりとりを、ゴンドウはいつもこんなに長いのかと苦笑していたが、あの井戸端会議みたいな時間は絶妙にクセになる。いつしかそのペースに誰もが巻き込まれていた。演奏の緊張感とトークの弛緩は、猪野にとってON/OFFで分け隔てるものではなく地続きにあるものらしい。緻密に計算されたカメラワークと編集を経て完成された配信ライヴ映像をいくつも見慣れた目と耳には、この普段通りの感覚が新鮮だ。

音楽は稀有なのに、そこで息を吸って吐くように生まれる音楽が“普段”とつながっている。それはきっと、この日のライヴだけじゃなく、これからずっと必要なものだ。

まるで“宇宙の井戸端会議”に立ち合ってるみたいなあの感じ。次もまた味わいたい。

TEXT : 松永良平(リズム&ペンシル) 

2020.10.21 (Wed.) 配信ライブ "INO hidefumi THE SESSION vol.2 featuring  鈴木茂 " at Rittor Base

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リットーミュージックが運営する「御茶ノ水Rittor Base」から行配信ライブシリーズ“INO hidefumi THE SESSION”。
ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)を迎え大好評だった第一回に続き、来る10月21日 (水)に開催する第二回では、日本ギター界のレジェンド鈴木茂をゲストに招きます! はっぴいえんどやティン・パン・アレー、さらには『BAND WAGON』などソロ作の中から選りすぐった鈴木茂ナンバー、そしてもちろんINOソロ曲など、それぞれの持ち曲をはじめ、カバーやフリーのセッションまで、互いの演奏を存分に楽しめる内容となります。サポートには細野晴臣バンドでベースを担当している伊賀航、そしてキセルでのシュアーなドラムで知られる北山ゆう子を加えた万全の布陣。定評あるRittor Baseの映像・音響システムを生かした極上のストリーミング配信となりますので、ご期待ください。また、今回、INOと鈴木によるコラボTシャツ付視聴券も販売します。お得な価格設定となっていますので、ぜひご購入ください!

<INO hidefumi THE SESSION vol.2 featuring 鈴木茂>
開催日時:2020年10月21日 (水) 20:00- (演奏は1時間強を予定。アーカイブは10月28日0時まで視聴可能)
ストリーミング視聴券:2,000円 (前売)/3,000円 (当日) チケット購入
Tシャツ付ストリーミング視聴券:5,000円 (前売のみ) チケット購入

2020.8.10 (Mon.) 配信ライブ "INO hidefumi THE SESSION vol.1 featuring ハマ・オカモト" at Rittor Base

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御茶ノ水 Rittor Baseの新しい配信ライブシリーズが決定!

INO hidefumiをホストに毎回手練れのミュージシャンをゲストに招いて行う、その名も“THE SESSION”。
一回目はゲストにハマ・オカモト(OKAMOTO'S)さんを迎え、8/10(月・祝)20:00より開催します。
それぞれの持ち曲をはじめ、さまざまなカバーも演奏。
サポートドラムにはSANABAGUN.のドラマー澤村一平を加えた演奏は必見です。

・前売 視聴券 ¥2,500 チケット購入

・当日 視聴券 ¥3,000   チケット購入  (8月10日 0:00 ~)

メロウでチャーミング。タイムマシーンも発動した“緊急事態宣言”の夜

  • 「INO hidefumi THE SESSION」のvol.5は、INO の長年の盟友的存在・藤原ヒロシを招いて行われた。この日は東京・大阪・兵庫・京都に3度目となる緊急事態宣言が発出された日曜日の夜。春らしい穏やかな気候にも世間の嘆息が波動のように感じられる中、20時からのライブはINOの代名詞的楽曲、「Love Theme From Spartacus」からスタートした。

2007年頃から不定期に音楽活動で交わるようになった二人は、それぞれのアルバムの楽曲で共演しながら、これまでに70回以上ものライブを共にしてきた間柄。世界のストリートからメゾンまで常に注目を集める藤原ヒロシは言わずもがな、ともに“洒落者”として知られる二人の配信ライブの出で立ちは、藤原が薄いピンクのシャツにアコースティックギター、INOがダンガリーシャツにフェンダーローズを前にしたシンプルさ。二人ともサングラスをかけているので表情は見えないものの、交わされる会話からも、親密でリラックスした雰囲気が伝わってくる。

と、思いきや、意外にも二人は久しぶりのライブ、しかも藤原は慣れない配信で多少の緊張をしていたことを明かした。2020年にサカナクションのNFレーベルから『slumbers 2』を出した際に収録された「TERRITORY」で藤原が透明感のあるヴォーカルを披露した後、藤原は「ああ、あんなに練習したのに(笑)」とINOに訴えた。どうやら1曲目の「Spartacus」でミスがあったようで、その無念さを滲ませる発言からも藤原の音楽への想いの深さが感じられた。

藤原の“意外な緊張”をよそに、それでも配信ライブは進んでいく。1994年にリリースされた藤原の1stアルバム『Nothing Much Better To Do』に収められた楽曲で、The Specialsのテリー・ホールが歌った「Getting Over You」、ノスタルジックな雰囲気の「CANDY」へと続く。藤原のアコースティックギターとINOのフェンダーローズ、そして二人の掛け合いのボーカルが高域と低域で行き来をするうちに緊張がほどけたのか、今夜の「THE SESSION」が形成されていく空気が漂い始めた。

「ヒロシさんの高いキーのヴォーカルいいですよね。羨ましい。プリンスに声が似てるって言われません?」とINO。「言われません」と一言で返す藤原。ライブの曲間に交わされるテンポのいい会話のゆるさも、この配信ライブの姿の見えないオーディエンスたちを癒していく。

今夜そんな二人の会話のキーになったのが、5曲目の「TIME MACHINE」。藤原の『slumbers 2』に収められ、シングル配信もされたこの楽曲で藤原がカッティングギターとヴォーカルを披露すると、演奏後にINOが「ヒロシさんはタイムマシーンがあったら、いつに戻りたいですか?」と問いかけた。すると藤原は「20分前に戻って『Spartacus』からやり直したい」と答える。

その後も藤原ヒロシ+YO-KINGのユニットによるAOEQの「最優先」、インスト曲の「DAWN」と藤原の楽曲が続き、「こんな転調が難しい曲をよく創れるね」と言いながらギターで伴奏に回ったINOの「奇蹟のランデブー」(『SONG ALBUM』に収録)の演奏を終えると、「(今夜のライブの)ヤマは超えたかも」と藤原は安堵の表情を浮かべた。

いい大人が二人揃ってこんなにチャーミングでいいのだろうか、と感じた人も多いこの時間帯からライブは後半へ。藤原によるアップテンポなヴォーカルの「WHITE」(『slumbers』に収録)、そして映画『ディアハンター』の楽曲で、藤原がフランスのファッションブランドA.P.C.の設立者ジャン・トゥイトゥと作った「THE A.P.C. 005 EXPERIENCE」に収めた「CAVATINA」と続く。この曲でダブアレンジを手がけた故・朝本浩文に向けて、INOが追悼の言葉をたむけた。

終盤はINOがその影響を隠さないYMOやティンパンアレイ関連の楽曲が2曲続く。ライブや楽曲でINOも共演を果たした鈴木茂の代表曲「ソバカスのある少女」をINOと藤原が掛け合いで歌い、高橋幸宏の「Saravah!」へと流れる。藤原は「この頃の曲には当時そんなに馴染みがなかったけど、いい曲だよね」と、二人の音源的交流を感じさせる会話から長年の親密さを滲ませた。

ライブの予定時間は1時間半。もう一曲で終わり、というタイミングで、突如藤原が先ほどの“タイムマシーン”の使用を要求した。冒頭曲の「Spartacus」をもう一回リベンジで演りたいとINOに持ちかけたのだ。「本当にやるんですか?」とINOはいぶかしがりながらも演奏すると、今度は藤原も納得の出来に。そして最後にAOEQの「消えない虹」を二人の掛け合いで歌い、この穏やかな配信ライブは終わりの時間を迎えた。

ニューアルバム『In Dreams』も2021年5月16日(日)発売が決定し、5月19日からは大阪、横浜、東京のビルボードでリリースツアーも決定しているINO。そしてこのツアーには藤原ヒロシもゲストで登場する予定ということもこの配信ライブで明かされたので、緊急事態宣言明けの無事の開催を二人のファンとともに祈りたい。

武井幸久(HIGHVISION)

INO hidefumi THE SESSION vol.5 featuring 藤原ヒロシ ライヴリポート